目安箱について!   


 
  マリンパーク内の風車。
 一般的に目安箱と言えば、江戸時代に名君の誉れが高かった徳川吉宗が設置したものを指す場合が多い。吉宗は、江戸城辰の口の評定所前(現在の東京駅北口付近)に毎月2日、11日、21日の月3回設置し、回収した。目安とは訴状のことであり、政治、経済から日常の問題まで、町人や百姓などの要望や不満を人々に直訴させた。箱には鍵が掛けられ、将軍自ら検分した。・・・・とインターネットで調べてみると書かれていました。 

 中部電力も、働く人々の不満や要望を聞くために設置しているのだろうと思うのですが、浜岡原発内の1、2号機建屋内に入る手前の休憩所の片隅に、この「目安箱」が設置されています。この休憩所は、これから建屋内外や管理区域内で作業を始める労働者がトイレを利用したり、ジュースを飲んだり、タバコを吸ったり、あるいは作業員同士が待ち合わせるために設けられています。


 私は、中部電力の下請け会社のその更に下請け会社の(株)アトックスという会社の、更に下請けの(株)美粧工芸(びしょうこうげい)という会社で昨年(2008年)9月初旬まで働いていました。うちの元受会社であるアトックスの、別の下請け業者の臨時作業員として働いていた相良町在住の51歳の男性が、ある日(2008年1月頃)この目安箱に意見を書いて投函したのです。その内容というのは、彼とごく親しかった私もその場にいてよく覚えているのですが、「最近、寒さが厳しくなり風邪を引く人が多いので、うがい薬が出る機械を設置してください」という要望でした。その機械とはウォータークーラーのような形をしていて、島根原発の構内に設置されていたそうです。彼はその前年の暮れに島根原発に出張で1ヵ月ほど行っていたのですが、その時使用して便利だったので、浜岡でもぜひ設置して欲しいと要望書に記入して提出したのです。


 それから半月ほどして、彼の要望書が功を奏したのか、休憩所のトイレにうがい薬が設置されました。それは、彼が希望したようなウォータークーラー型のうがい設備ではなかったのですが、瓶に入ったうがい薬と紙コップが常設されたのです。私たちは中部電力の対応の早さに、「さすがは中電さん!」と自分たちが働いている企業に対する好感と頼もしさを感じたものでした。しかし意見を書いて目安箱に投函したということで、社内でのSさんの立場が悪くなったのです。彼は、誰でも意見をどうぞという、中部電力の懐の大きさに少しも疑問を抱くことなく目安箱に要望を投函しただけです。どう考えても問題になりようがないのに、不思議なことにこれが大きな問題となったのです。しかし、「うがい薬・・・・」云々が問題になったのではなく、中電が直接管理する目安箱に意見を投函したことが問題になったのです。この相良町に先祖代々住んでいるSさんは、自分の所属している会社のマリオブラザーズに極似した口ひげの所長から大目玉を喰らっていました。


 所長いわく、「目安箱に書いたらダメとは言っていない。しかし、何を書くのか、私に見せたあと投函しなさい」と薄くなった頭から湯気を立てて喚いていました。投函する前に検閲が必要だと言っているのだが、これでは目安箱の意味をなしていないように思うのですが、どうでしょうか。それから、口ひげの所長は全社員の前でこうも言っていました。「書くなとは言わない。言わないが、できたら目安箱に意見などは入れないのが望ましい・・・・」と。これでは、書いたらダメ、投函したらダメだと言っているのと同じです。この事件のあとSさんは解雇こそされなかったのですが、定検に入って仕事がちょっと暇になると、数ヵ月のあいだ休みを命じられていました。つまり、干されたのです。


 中部電力のやっていることはいつもこの程度のもので、業者に対する指導がいい加減なものだから、何かあった時にもっとも弱い立場にある労働者のところにしわ寄せがいくようになっているのです。もっとも弱い立場の者が傷つくようになっているのです。小心者のヒゲの所長は、「そのような指示を出した覚えはない」と否定するだろうと思いますが、発言を求められたなら、私はどのような場所であっても出向いて行き、事実を語る気持ちを持っています。それから、働く労働者のためという建前で設置されているのでしょうが、実際、意味をなさないどころか、まじめに働く者に危害を及ぼすような「目安箱」なら、早々に撤去されたらいかがでしょうか?




                                                2009年8月7日