握りつぶされた浜岡原発再稼動の是非を問う住民投票 



5号機と排水口、浜岡原発東側から
 中部電力浜岡原発の再稼動の是非を問う住民投票条例案は、10月11日の静岡県議会(定数69、欠員3)で原案、修正案ともに否決され、住民投票は実現しなかった。最大会派の自民改革会議(37議席)が反対したうえ、住民投票に賛成する川勝平太知事の与党、民主党・ふじのくに県議団(20議席)は態度が割れ、半数以上が修正案の反対に回った。市民団体「原発県民投票静岡」のメンバーは、「議会は県民をみていない」と憤りをあらわにした。(毎日新聞)

 16万5千人の静岡県民の思いが潰されたのである。川勝平太静岡県知事は、「16万人の署名は重い」として賛成する意見を付けて県議会に提出したが、「住民投票実施に10億円以上の経費がかかる」などを理由に県議会は反対を決定したのだという。しかし、最初から否決ありきの印象はぬぐえない。「国策の原子力行政が地方の住民投票で左右されてよいのか」と主張した自民党議員もいたそうだが、県民の代表らしからぬ愚かな発言である。国策という錦の御旗を掲げていたから国民が盲信してしまい安全神話が生まれ、その結果、地震大国日本のあちこちに無秩序に築いてしまったことが、今回の原発震災の一因となっているのである。


 原発再稼動に対して周辺住民の理解は絶対に不可欠なはずなのだが、住民の賛否を問う住民投票の条例案を議会で否決されてしまっては、住民の本当の気持ちを確かめる手段はなくなってしまう。その挙句、電力会社に手なずけられた地方議員や地元の首長や、カネまみれの一部の実力者の思うままにコトが進んでしまうことになりかねない。県議会は、最初から「住民投票を実施させない」という方針だったのではないかという疑惑が盛んに噂されているが、これで柏崎刈羽原発の再稼動を巡っての住民投票の動きにも影響が出てくるだろう。


 現在では、やはり民主党ではダメだった。やっぱり自民党だ、という流れになっている。自民党の安倍総裁も、「中長期的には原子力の比率を下げていくべき。再生可能エネルギーの技術革新を国が支援し、代替えしていくことが大切」と原子力に代わるエネルギー確保に向けた支援策の重要性を強調しているが、自民党政権になったとたん各地の原発が動きだすのは火を見るより明らかである。そして、亡国の浜岡原発も、日本国民の嘆きの声と共に間違いなく稼動を開始することになるだろう。


 残念ながらいくら中電を嫌悪していても、愛知県や静岡県で暮らしている我々は中部電力から電気を供給してもらうしかない。独占企業だから、中電からしか買えないのである。電力は中電から買うしか方法がないが、原子力産業に参入してぼろ儲けをしている「東芝」「日立」「三菱」の電気製品などの不買運動を起こすことは可能である。この三社の製品をボイコットするのである。原発に危機意識を抱いている人々が三社の製品を意識して買わない努力をするだけで、1年もしないうちのこれらの企業はお手上げ状態となるはずである。


 住民投票を否決したことに対して、「民意を馬鹿にしている」「難癖をつけて反対したとしか思えない」という批判や失望の声が上がっているし、上がって当然だと思う。無記名投票による採決だったそうだが、賛成に回ったのは65県議のうち17県議のみ。住民投票を一丸となって潰した自民会派の議員は風当たりの強さに驚き、杉山盛雄幹事長は「これまで原発問題の議論が足りなかった。近いうちに、原発問題に取り組む議員連盟を立ち上げたい」と批判をかわそうと躍起になっている。だが民主主義を無視し、民意を無視した議員たちはこれから高い代償を支払うべきであろう。次ぎの選挙で私たち県民は、各候補者をしっかりとチェックした上で投票すべきであると考える。


                                            2012年10月14日