始まった防潮壁工事の様子


 中部電力は9月22日、ついに防潮壁の工事に着手した。11月中旬頃から本体工事に入る見通しとのこと。防潮壁は、東海地震が発生したときに津波被害が想定される原発南側の、遠州灘に沿ってコの字型に建設するとのことでした。総延長は1・6キロ、海面からの高さは18メートル、工事費は1000億円。2012年12月に完成予定。貯蔵タンクの向こう側、重機のある場所が工事現場。沖に見えるのは、冷却水の取水口。遠浅なので、海面から取水口まで深さが6メートルほどしかないそうです。


 時々、工事の進捗状況を載せることにします。


 
 
津波対策の中心となる防潮壁の本体工事が、いよいよ今月11日から始まった。(11月15日撮影)
 
まだ、基礎工事をやっているようです。(12月12日1時頃撮影)


 防潮壁の本体工事が11月11日から始まる


 待望の引越しも終わり、昨日(11月17日)から、2週間ぶりにインターネットとメールが使用できるようになりました。これから積極的に、浜岡原発のホットな情報を全国に向けて発信していこうと考えています。


 菅総理が浜岡原発を全面停止させてから、約半年後での本体工事着工となった。中電の水野社長は、「防波壁の大きさを実感してもらうためにも、地元住民に工事現場を見学してもらえるか検討したい」と述べたらしいが、現場公開の時期や方法などは明言していない。


 浜岡原発敷地内の防潮壁工事を請け負ったのは、原発建設に深くかかわっている「鹿島建設」「竹中工務店」「間組」など、大手ゼネコン4社。


 至近距離から眺めた工事の様子(2012年1月14日)



 昨年の夏頃の写真(正面は5号機建屋)
 
今年の1月14日に撮影


 上の2枚の写真は同じアングルで撮られています。右側の写真では、防潮堤工事のための大型クレーンが数機設置されています。2、3年は優にかかる工事を、1年余りで完成させるという突貫工事のため、土曜日だというのに平日並みに朝から夕方まで工事が行なわれていました。もっと、近寄ってみることにします。


 
これが東側から見た防潮堤工事の様子です。中央の建物が5号機原子炉建屋


 基礎を掘ったときに出た多量の土砂や岩石を、どこに運んでいるのだろうかと観察していると、土砂を積んだ10トンダンプは裏門にあたる東門から出て、6号機の建設予定地だったあたりまで運んでいました。だったと表現したのは、もう永久に6号機が建設されることはないからです。土砂置き場の入場口の真向かいには、「紅や」という食堂があり、金網のフェンスで囲われた敷地内には、工事関係の現場事務所や作業員詰所が数棟建ち並んでいる。


   


 鉄塔の手前、一見して南米のアステカ遺跡テオティワカンのように見えるのが、防潮堤の基礎工事のために出た土砂の山です。奥のほうの山が青く染まっているのは、植物の種を吹き付けたためだと思われます。工事人に断って近寄ってみたのですが、予想していた通り岩石と呼べるようなものではなく、素人目で見ても明らかに粘土層でした。持ってみると極めて軽く、手でたやすく砕けてしまいました。だから、ユンボのキャタビラーで踏むだけで簡単に砕けるので、写真で見るようなきれいな形をした小型の山が築けるのです。


 
指で簡単に割れてしまいました
 
斜め横から見た御前崎市のテオティワカン遺跡


 防波堤の基礎は20メートルほど掘り下げていると聞いています。20メートルとは原子炉建屋の基礎とほぼ同じ深さなのですが、ここに積み上げられている粘土質の土砂が、浜岡原発の原子炉建屋の真下の地層と同じなのはまず間違いないでしょう。土砂の山の中に岩石らしきものを捜したのですが、カケラも見つかりませんでした。


 中部電力は、5号機の地下に「低速度層」という揺れを増幅させる地層が存在していたと発表したが、低速度層の正体とは粘土質の地層だったわけです。粘土質ですから水を含ませると豆腐かプリン体のようになり、小さな揺れにもしっかりと反応します。東海地震の危険が騒がれている浜岡原発は、地元民が盛んに噂していたように、やはり軟弱な地盤の上に建っていました。


   
      この近くには5号機の排水口があり数名の釣り人の姿。だけど、釣った魚を食べたらダメですよ!


                                        2012年1月14日


 
海側から撮影した5号機原子炉建屋と防潮堤工事の様子です。2012年6月某日

 
原子力館の展望台より防潮堤の工事の様子を俯瞰する。2012年6月26日
    基礎工事が終了したようで、いよいよ壁面の工事に取り掛かっていました。


 
原子力間の展望台より、2012年10月5日


   石油タンクの向こう側に防波壁が望めます。7月30日、中部電力は来年12月までの工事延期を発表したが、6月のときから工事はそれほど進んでいないようです。1400億円という巨額の予算を組んでこのプロジェクトは始ったわけですが、1年間の延期となれば、さらに工事費は膨らみそうです。ご苦労なことです。(上の写真) 


 防波壁の巨大さがよくわかるので、右の写真を載せました。(山陽新聞の画像)