『ごきぶりと原子炉』 (神奈川県小田原市在住の女性から寄せられた童話)

                   ごきぶり伝承  2111年15月32日発行


 むかーし むかし 小さな島国に 美しい砂浜がありました。
 掘っても 掘っても きれいな砂なのです。
 そこに 巨大な どんぐりのような不思議な建物ができました。


 なにをやっているのか 見に行ってみたら・・・・
 近づくと なにやら熱い。お湯を沸かしているのか 湯気もでている。
 いっしょに行った仲間には 気分がわるくなる者もいた。
 もっと近づいてみると ヒト族が あわただしく動いている。


 若ゴキ「おやっ ここにドアがあるぞ。開くのを待って はいってみよう」
 鎧のような服をきた ヒト族がやってきて 入念に準備している。
 長靴のまわりをぐるぐる巻きにして 顔も見えないマスクを付けていた。
 ドアが開いた瞬間 いやな予感がした。
 今まで 嗅いだことのない匂い? おいしそうではなかった。
 あまり気が進まないので 早々に ひきあげることにした。
 

 寝ぐらにもどり 博学な長老の話を聞いた。
 ウラン という 鉱物があるらしい。
 それを かき集めて固めると 熱が出る。


 ヒト族は その熱を利用して エレキ・エネルギーをつくっていた。
 それは わかるとしても 困るのは
 ウランが壊れるときに 熱が出る と同時に
 ゴミの日にも捨てられない どうしょうもなく
 体に良くない つぶつぶ が大量に のこるのである。
 その つぶつぶは 永久に猛毒なのだそうだ。


 そんな勉強をしたあとでは
 われわれには あの巨大などんぐりが
 おそろしい怪物にみえていた。
 いつも出ている湯気も 不気味であった。
 近よってはならない場所だと 子どもたちに教えていた。


 ある日 それはそれは大きな地震がきました。
 われわれ ごきぶり族でも立ってられないほどの揺れで
 何がなんだか わかりません。
 おさまるのを待って 外にでてみたら
 あの巨大な怪物どんぐりが 砂の上で ころんでいる。
 煙も でている。
 ふと海をみると 沖のほうから 見たこともない大きな波が向かってくる。
 いちもくさんに 丘にのぼりました。最速ぞろぞろです。


 息をきらして ぜーぜーいいながら 丘から海岸を眺めていると
 怪物どんぐりと ヒト族 その住まいが 波に飲みこまれていた。
 あの危険な匂いが ただよってくる。
 こわれた怪物が 動いている。海に浮かんでいる。
 どんぶらこ。


 そして その怪物は われわれでも生きてられないような空気と
 汚れた水をまきちらしながら 世界の海を 今も漂流している。


 今はもう あまり見かけなくなった ヒト族。
 生きのこった者もいるらしい。山奥で暮らしているという。


 ヒト族の食べのこした物を 食べてただけなのに 
 殺虫剤を かけられた恨みも忘れないが
 自らの命まで わざわざ短くするヒト族が 理解できない。


                               おしまい