千年に一度の大地震


 869年の貞観(じょうかん)地震に匹敵する規模だったので、3月11日に発生した東日本大震災が千年に一度の大災害だと言われている。古文書によると、貞観地震のときの被害者は千人ほどだったらしいが、今回の地震による死者・行方不明者数は約2万人にのぼる。しかし、地震や津波に巻き込まれて亡くなった千人という人数も、当時の人口を考えると相当な被害だったと想像できます。


 最近では、「千年に一度の大災害」という言葉が独り歩きしていて、「福島第一原発の事故も、千年に一度の大地震に見舞われたのだから仕方がない」と擁護するように使用され始めたのが気になります。それに、千年も昔の話を持ち出さなくても、わずか戦後60年のあいだにマグニチュード8以上の地震は、数多く我々の住む日本列島を直撃しているのです。


 古い順に列挙すると、1946年、M(マグニチュード)8・2の南海地震。52年と68年の十勝沖地震、52年のときはM8・3で、68年のときはM8・2でした。翌年の69年には、M8・2の北海道東方沖地震が発生し、94年にも同じ北海道東方沖でM8・3の地震が起こっています。21世紀に入ってからは、03年にM8・3の十勝沖地震が再び起こり、11年に、今回のM9・0の東日本大震災が発生したのでした。繰り返すことになりますが、戦後の60年のあいだに、付近に原発があれば間違いなく影響を及ぼすだろう大地震が、この日本国内で7つも猛威を振るっていたのです。


 1900年以降、世界でマグニチュード9以上の大地震は6回起きている。その6回のM9以上の大地震のうち、2つは21世紀に入ってからである。日本では阪神大震災以降、地震の活動期に入ったようだと、学者たちが盛んに警鐘を鳴らしています。だから、千年に一度の大地震が起こったのだから、この次は千年後だなどと、間違っても思わないようにして欲しい。それどころか、活動期に入ったというぐらいだから、むしろ東日本大震災並みの大地震が近いうちに襲いかかる可能性が大なのである。その場所とは、こんどこそ東海地方かも知れないのだ。




                                       2011年12月28日