これが8242万5千円の滑り台


   浜岡原発の場合、原発立地交付金で造られたものの中で、もっともくだらないと思われるものは「滑り台」だろう。その値段は8242万5千円。この金額に驚かれた人は多いと思うが、別に黄金でつくられているわけではない。「ローラー・スライダー」と名づけられた普通の滑り台である。長さは150メートルもあると言うから、普通の滑り台とは呼べないかも知れない。小高い山の頂き近くにある神社の南側斜面の松や楠の林の中を、大蛇のようにくねくねと延びている。

 その斜面は平成14年に、「高松緑の森公園」として整備されたのだが、6億7200万円かけて造られた公園の目玉として、「静岡県下でもっとも長い滑り台」というキャッチフレーズのもと誕生したのだ。この公園と滑り台をつくるのに尽力したという元議員に話を聞くことができた。「わしの25年間の町議生活の中で、いちばん意義のある仕事がこの公園の整備だった」と小柄な老人は、公園事務所の中でストーブにあたりながら胸を張った。


 滑り台に水を向けると、「利用者?すごいもんだ。天気の良い休日には、藤枝や掛川から家族連れで滑りに来る。大型バスで乗りつけるなんてことは、しょっちゅうだよ」と得意満面で喋っていたが、取材のために計3度訪れたうち、滑っている子どもの姿がわずかに見られたのは、元町議から話を聞くことができた日曜日だけだった。


                                         2011年12月10日