中部電力の協力金で建てられた大鳥居


 
1億2000万円の大鳥居
 原子力PR館の展望台から、御前崎市の中心部である池新田方向を望むと、手前のほうにバカでかい朱色の大鳥居が目に飛び込んでくる。この大鳥居は国道150号線からも望むことができる。浜岡原発の正門から西へ300メートルほど、ガソリンスタンドとサークルKに挟まれた北へ伸びる道の入口付近に、威圧するように聳えている。国道の反対側には、「パロミノ・ポニークラブ」という乗馬クラブがあるのですぐにわかる。 

 これが中電の協力金で築かれた御前崎市の大鳥居である。工事費は1億2000万円で、高さは21・5メートルもある。建てられたのは、5号機が建設中だった平成14年12月。5号機建設の見返りとして、市内の古刹、龍神伝説の残る「池宮神社」の参道に建立されたのだ。そのときに、池宮神社の社務所も建て替えられることになった。社務所の工事費が1億8000万円だったから、地元住民に対する協力金として中電は3億円の金をぽんと出したことになる。この金は突然電気料金に上乗せされるので、日本の電気料金が世界一高いというのも納得できる話である。


 中部電力は、御前崎市に協力金を渡したのではない。協力金を出した直接の相手とは、中電と持ちつ持たれつの間柄である佐倉対策協議会(通称・佐対協)。浜岡原発の立地する佐倉地区にあるこの市民団体には、過去、幾度となく中電から協力金名目で大金が渡された。佐対協の役員数名がスーツケースを持ち、名古屋にある中電本社に数億という現金を受け取りに行ったという逸話が残っているほどだ。   
石鳥居の向こう側が池宮神社の社務所

 だから、佐対協には10億円を超える潤沢な資金があり、これを数名の限られた役員だけが持ち回りで管理している。その正確な金額は、我々佐倉地区に住む市民の耳にも入ってこない。佐対協の役員をしていた人物に聞いたことがあるが、彼も正確な金額を知らなかった。それどころか、この金のことを詮索するのはタブー視されていて、役員をやっている期間中、話題に出すこと自体はばかられたのだという。極秘とされているのだ。とにかく、市民のものでありながら、少しも市民の役に立っていないというのが実情である。最近の情報では、このカネがどこかに消えたという噂も立ち上っている。


 この次は電源立地交付金で作られた、8240万円の滑り台の話を載せることにします。


                                      2011年11月24日