中電のウソ


  その6 浜岡原発が東海地震に耐えられるって本当なの?


 
原子力PR館から眺めた浜岡原発。
 1995年1月17日の早朝、阪神・淡路大震災が発生しました。その時のマグニチュードが7・3。それまで国民の誰もが、地震によって高速道路が横倒しになったり、頑丈そうに見えるビルがたやすく倒壊したり、そして新幹線の線路が落下するなんてことは考えてもみなかったと思います。でも、その誰も考えなかったことが実際に起こってしまったのです。国や中部電力が、「原発は絶対に事故を起こしません。東海地震がきても、浜岡原発は100%安全です!」と繰り返し言っていますが、果たして本当に大丈夫なのでしょうか? 


 予想される東海地震のマグニチュードは、8から8・5と言われています。もし仮に、マグニチュード8クラスの地震が襲いかかってきたとしたら、その地震の規模は阪神・淡路大震災の約12倍に相当するそうです。そして8・5だと、50倍だと言われています。繰り返しになりますが中部電力は、「東海地震がきても、浜岡原発は100%安全です」と断言していますが、客観的に考えてみても、この巨大地震で地盤の軟弱さが繰り返し指摘されている浜岡原発が、無事であると信じること自体が困難なのではないでしょうか。冷静な判断のできる人なら、誰1人、阪神・淡路大震災の12倍の規模の大地震に浜岡原発が耐えられるとは思っていないはずです。


 今年8月11日の早朝、駿河湾沖で地震が発生しました。御前崎ではマグニチュード6強を記録したのですが、この地震を私は警告としてとらえています。この地震の時に、高度な技術で造られたはずの浜岡原発5号機は想定外の激しい揺れに翻弄され、多くの異常個所が発生し、そして実際に放射能漏れという信じられない事故が起こったのでした。マグニチュード8と言わず、阪神・淡路大震災クラスの地震が発生した場合でも、まず間違いなく浜岡原発は持ちこたえられないでしょう。中部電力はもっと謙虚になったらいかがでしょうか。そして、正確な目で事実をとらえ、「日本の未来のために、中部電力は危険な原子力発電から撤退します」と勇気ある選択をし、日本の発電事業に新しい道筋をつければ、中部電力の株はいっきに上がると思うのですが、いかがでしょうか?


 もし原子力発電所がストップすれば、電力の3分の1が失われると国や電力会社が堂々と公言していた時期がありました。だから、もう撤退できないのだと。電力が供給できない事態に陥ると困るので、原子力発電の危険を強く意識しながらも人々は沈黙するしかなかった。しかし中部電力の場合では、昨年の夏だったと思うが浜岡原発の3基すべてが停止した時期があった。だが不思議なことに、電力供給に何ら問題は起きなかった。それに、真夏のもっとも電力需要の多い季節だったというのに、節電の呼びかけさえもなかった。その時に御前崎市民は知ってしまったのだ。原子炉をすべて停止しても電力供給に支障がないことを・・・・。


 阪神・淡路大震災以後、全国にある原子力発電所の耐震指針を見直す声が高まり、確か2001年から耐震指針の見直しが始められた。新しい耐震指針では、「浜岡原発も万一の場合には、東海地震で壊れる可能性がある」という結果が出たそうです。強きの発言を繰り返していた中部電力は、この調査結果に対して、「浜岡地域で起こると予想されている地震の強さは最大で800ガルですが、当社は自主的に1000ガルまで耐えられる工事を行なっています」とコメントし、原子炉建屋は何も問題ないとして排気塔や配管サポートなどの補強工事を行なった。原子炉建屋は何も問題ないという発言は5号機も含まれていたらしいが、このあと中電は駿河湾地震の時の5号機の異常な揺れに対して、その地下に低速度層という揺れを増幅させる特殊な地層の存在を認めた。


 


 その他の地震被害に関する問題点として、中村信夫さんという2号機の設計を手がけた技術者が、「直下型地震が起こると、浜岡原発は制御不能になる」とはっきり断言しています。それに、地震によるパイプ破断の問題もあります。パイプが破断すると冷却水が循環しなくなり、原子炉が空焚き状態になって”炉心溶融(メルトダウン)”というとんでもない事態を招くことになります。いま世界では、原発廃止の方向に向かっています。アメリカでも、オバマ大統領が徐々に原子力発電所を減らしていくと発表したばかりです。それに、ドイツも原発事業からの撤退を表明しました。いつまでも、バカみたいにやっているのは日本とフランスだけです。   
御前崎市立図書館・アスパル。


 特に地震国日本では、すべての原子力発電所において地震事故による危険性が取りざたされています。さらに浜岡原子力発電所は、「世界でもっとも危険な場所に建つ原発」として、世界中の有識者から危険視されているのです。原発は、地震に対して脆弱な面を持っています。やり直しはできません。もし実際に、地震で破壊されたらどうなるのか。東海地震によって浜岡原発で事故が起これば、大量の放射能が環境に放出され、世にも恐ろしい「地獄絵図」が出現することになります。


 原発は、文明が生んだ悪性腫瘍(あくせいしゅよう)のようなものだ、と発言した学者がいます。「東海地震がすぐにでもやってこようというのに、浜岡原発を止めようとしない国と電力会社は、周辺地域の人々を犠牲にするという人体実験を行なおうとしているのか!」と血の出るような怒りの声を発した地震学者もいました。地震による原発の大事故が発生すれば、原発周辺の人々は放射能汚染による急性死という悲惨な死を遂げることになるのですが、その数は数万人と言われています。そして、風に乗って”死の灰”は数日後に首都圏に到達し、そこではガン発症という緩慢な死を含めて、数百万人の命が奪われることになります。


 もう一度言いますが、東海地震が襲いかかってきた時、浜岡原発はまず持ちこたえられないでしょう。特に、今回の地震でとんでもない弱さを露呈した5号機はまず無事ではないだろうと、私は思っています。浜岡原子力発電所でもっとも最近につくられた5号機は、多くの地域住民の反対を押し切り、住民の代表を標榜(ひょうぼう)する「佐倉地区対策協議会(通称、佐対協)」と、その当時の推進派の町長と行政の判断という反則技によって強引に建設されたのでした。住民の反対の声を無視して強行されたのです。その5号機では、建設にあたって30%のコストダウンを行なったと中部電力は発表していたのですが、どの箇所かの説明はなされていないそうです。そのコストダウンが主に基礎部分であったなら、これは大問題です。


 1999年の9月に茨城県東海村で臨界事故が起こりました。その直後にこのことが明るみに出たのですが、事故を起こした当事者であるJCOの職員マニュアルには、もし臨界事故の発生した時には、「何をおいても、逃げること」と書かれていたそうです。その時に、「何をしろ!」というマニュアルはなくて、とにかく逃げろと・・・・。そして、実際に臨界事故のあった時には、JCOの社員はすべてを放ったらかし、蜘蛛の子を蹴散らすようにして見事に逃げ散ってしまったそうです。中電のマニュアルには、そのような無責任なことはよもや記入されていないと思うのですが、気になるところです。最後に、「浜岡原発を考える会」代表の伊藤実さんの言葉で、このコーナーを締めくくろうと思います。「原発産業が抱えているさまざまな矛盾から原発は自ら崩壊するであろうが、原発事故や地震がそれまで待っていてくれるとは限りません・・・・」




                                               2009年9月18日