不当解雇! その2
今年(2010年)の3月の下旬に、中部電力の総括広報グループ(広報課)の人たちと話す機会があったので、その時にこのホールボディカウンターの身代わりの問題をぶっつけてみました。私の住んでいるアパートの一室で話し合いが行なわれたのですが、広報グループの鈴木ケイスケ氏とその他に木村くんという若い社員が来てくれました。鈴木ケイスケ氏は広報グループの副長とのことでした。話の前に、浜岡原発内に入っているTという会社で臨時作業員として働いていたU君のことを書いた「不当解雇!」を彼らに見てもらいました。そこには、寮から逃亡した仲間の身代わりとして、U君がホールボディカウンターを受けたことが書かれています。 U君は、決して望んで仕事仲間の身代わりを引き受けたわけではなく、会社から頼まれて半ば強制的に受けさせられたのです。そのことも説明し、広報グループの副長という立場にある鈴木ケイスケ氏に対して、ホールボディカウンターの替え玉という不正を行なったTという会社に対して、指導は必要ではないですかと言いました。中電として、何かペナルティーを科すべきではないですかと言ったのですが、彼は苦虫を噛み潰したような表情で無言を貫いていました。そのあと、U君の不当解雇の問題にも触れたのですが、その問題に対しても彼らは無言でした。若い木村くんは真面目な表情で聞いてくれていたのですが、鈴木ケイスケ氏のほうはというと、九州の片田舎から単身出てきた若者が一方的に解雇されたことに対して、私の言葉を聞きながら薄ら笑いを浮かべていたのです。
そのことは、最初から予測していました。地元の人々をある時には接待し、ある時には嘘八百を並べて懐柔してきた悪名高き広報グループのお偉いさんが、私の言葉を聞いて素直に賛同するはずがなかったのです。私は同行している広報の若手社員に対して、巨大地震が襲ってきた時に浜岡原発がどうなるかを訴えました。ところが驚いたことに、若い木村くんは原発に対して何の不安も疑問も抱いていなかったのです。中部電力の宣伝文句である、予想される東海地震の3倍の規模の地震にも浜岡原発は耐えられる、という根拠のない安全論を素直に信じているのです。会社は中電の社員だけでなく、新しく浜岡原発で働くようになった下請け業者の労働者に対しても、「安全教育」と呼ばれている洗脳教育を行ないます。丸1日かけて行なわれる安全教育の中で、放射能は危険だという文句はひと言も出てきません。原発は安全だと繰り返し繰り返し説明するだけです。だから、この安全教育を徹底的に教え込まれた青年の木村くんの口を突いて出てくるのは、中電のお偉いさんが聞いたら喜びそうな模範的な文句だけでした。 私が言葉を失っていると、畳み掛けるように鈴木ケイスケ氏が言いました。「そんなに原発や地震が怖いのなら、この土地から出て行ったら良いじゃないですか。誰も、あんたがここに居ることを望んでいない!」これは、どこかで聞いた文句でした。確か合併前の浜岡町時代に、本間町長が原発反対派の地元の人に対して、「原発を怖がっているのなら、この土地から出て行くしかないね!」と言ったそうですが、その文句に実によく似ています。どこかでこの話を聞いていて、おそらく口真似したのでしょう。この元浜岡町長の本間氏は、原発誘致の功労者として、現役を退いた現在でも中部電力から毎月30万円という高額の手当てが支給されているとのことでした。その手当て金の支給は、彼が死亡するまで続くらしいのです。でも、どうせ人を非難するのなら、他人の言葉を借りてではなく自分の言葉で喋ったらいかがでしょうか。立場のある人なんだから、もっと主体性を持ってもらいたいものです。 5月になって、私は某新聞社の記者の取材を受けた。その時に、ホールボディカウンターの身代わりの話を彼にしました。今年3月の広報課の人たちとの話し合いの場で、副長の鈴木氏にTという会社に対してペナルティは必要ではないでしょうかと言ったのですが、何らアクションを起こしていないようなので取材を受けた時に思い切って話したのです。浜岡原発では、以前からホールボディカウンターの身代わりのことがよく噂になっていました。内部被ばくを調べるために、退所時には必ずホールボディカウンターを受けることが義務付けられている。でも、それを受けずに姿をくらませる労働者が多いということは、不当な低賃金で使われている者や命を削るような危険な現場で働かされている作業員が多いことを意味しています。私はホールボディカウンターの身代わりは法律違反だと単純に考えていたが、取材を受けた記者は慎重であった。その行為が本当に違法だという確たる証拠が欲しいというのである。 そこで私は、原子力に関係する官公庁の関連組織や団体や研究施設に、片っ端からメールを送ることになった。それを始めたのは6月に入ってからだが、まだ有力な回答は得られていない。決め手となるような回答が得られた場合には、またこのホームページで発表しようと考えています。 2010年6月11日 |
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