街宣活動!



市民プール「ぷるる」 
 最近、体調がおもわしくないこともあって、昼間、市民プール「ぷるる」によく出かける。私のところから1キロ弱という近距離なので車で出かけたり、あるいは健康を考えて自転車で行ったりしている。「ぷるる」には、プールの他にもトレーニングルームやエアロビクスが楽しめる教室が備わっていて、それらの施設で汗をかいたあとは入浴設備もちゃんと整っている。一般のプールの他に真冬でも利用できる温水プールがあるので、私が利用するのはもっぱらプールと入浴である。水泳と水の中を自分のペースで歩くという運動を主に続けている。毎日のように通っていると、自然と親しく会話する人ができるものだが、そこでHさんという元教師だったという人と懇意になった。

 ある日のこと、昨年8月に起きた「駿河湾地震」のことが彼とのあいだで話題になった。屋根瓦が落下した民家のことや、ブロック塀が倒壊した家の話題から、浜岡原発は大丈夫だったのだろうかという話になった。私が5号機の異常な揺れについて語り、40件を超える異常個所が発生したと言うとHさんは大変驚いていた。知らなかったというのだ。むしろ、今回の地震で浜岡原発は何も問題なかったという話を耳にしたことはあるが、不具合が発生したことなど寝耳に水の話で、この日私から聞いて初めて知ったのである。Hさんは、知らなかったことに対してとても悔しそうな表情を浮かべていた。そして、浜岡原発が私たちの住まいのすぐ近くに位置しながら、原子力発電所の情報があまりにも少ないこと、情報が一般市民の耳に入って来にくいことをしきりに嘆いていた。


 それが現状なのでしょう。中部電力も、事故や異常個所が発生した場合には当然各関係官庁や市民及び県民に報告する義務があるのですが、御前崎市民やその周辺地域で生活する人々が原発問題に無関心であってくれたほうが好都合なので、原発で不具合のあったことなどを地域の人々に積極的に発信するようなことはまずないのが現実です。そこで、より多くの人々に浜岡原発の事故や問題点などの情報を知ってもらおうと考え、街頭宣伝を思い立ったのです。宣伝カーは、御前崎市議である「清水すみおさん」から借りることができました。さっそく、原稿書きが始まったのですが、御前崎市民やその周辺地域に住む人々に訴える内容は次の通りです。   
市役所に展示されている御前崎市の模型。


 「先日の駿河湾地震で、被害に遭われた方々にはお見舞い申し上げます。
さて、私たちが一番びっくりしたことは、中部電力や市が過去何十回となく、「原子力発電所は安全だ。どんな大地震がきても大丈夫!耐えられる!」と言っていた原発が、御前崎市内でもっも大きな被害が出たことです。たった一度の地震で嘘だとわかったのです。これには驚きと怒りを感じます。


 皆さんはご存知でしょうか。浜岡原発が世界でもっとも危険な原発と呼ばれていることを。それは、近い将来に間違いなくやって来ると言われている東海地震のことを指しています。浜岡原発は、東海地震の震源域のど真ん中に位置しているからです。ご存知のように、浜岡原発では5号機まで建設され、1、2号機が廃炉になることが決定しているので、残り3基の原子炉があります。この3基の原子炉の中で一番問題なのが、平成17年1月に運転開始されたもっとも新しい5号機であります。


 昨年8月11日の早朝に発生した駿河湾地震でこの5号機は、3号機、4号機に比較してとりわけ大きい揺れを観測し、それが原因で排気塔から検出限界を超える排ガスが放出されました。これは、放射能が外部に漏れたことを意味しています。そして、制御棒の駆動装置の故障、タービンの故障、使用済み核燃料プールの放射能濃度が通常の50倍に上昇するなど、42件とも、50数件とも言われる損傷や異常個所が発生したのです。その地震で、御前崎市内ではブロック塀が倒壊したり、屋根瓦が落下するなどの被害はあったのですが、ありがたいことに1軒として倒壊する家屋はありませんでした。ところが、最先端の技術で造られ、もっとも安全が求められなければならない5号機は倒壊こそまぬがれたものの、先ほども言いましたように、40数件とも50数件とも言われる損傷や異常個所が発生してガタガタになったのであります。


 駿河湾地震のマグニチュードは6.5でした。近い将来に間違いなくやって来ると予測されている東海地震の規模は、8以上だと言われています。地震エネルギーは、マグニチュードが1上がれば、その規模が約30倍に膨れ上がると言われています。つまり、東海地震の規模がマグニチュード7.5だった場合には、我々が体験した駿河湾地震の30倍の規模の地震が襲いかかってくるという計算になります。そして、もしマグニチュード8だった場合には、その地震の規模は200倍になります。200倍ですよ、皆さん!そんな規模の地震が襲いかかってきた時には、市内のほとんどの家屋は倒壊の憂き目に遭ってしまうことでしょう。一般の家屋よりも軟弱だった5号機の運命はというと、想像するのも恐ろしい姿になっていることだと思います。そこで、どんな地獄絵図が展開されると思いますか。


 今回の駿河湾地震では、特に5号機に異常な揺れが発生したのですが、その揺れの原因を突き止めるため、地下構造を調べるためのボーリング調査が行なわれました。中電は、浜岡原発が硬い岩盤の上に建っていると、どこまでも頑固に言い続けていたのですが、今回の調査で地盤に砂岩と泥岩の存在を認め、特に5号機の地下には柔らかい地層があったと説明したのです。ところが、いかにも中電らしいと言うか。おそらく、おとなしい御前崎市民をなめきっているのでしょう。浜岡原発が軟弱な地層の上に建っていること、特に5号機の地盤が極端に弱いことを認めたにもかかわらず、まったくそのことに対して対策を講じるでもなく、予定通り5月中旬の運転再開を決定したのです。しかし、タービン建屋の加熱器のひび割れが見つかり補修が必要となったため、原子炉の再起動は6月上旬以降ということに変更されたようです。


 しかし、軟弱な地層の問題をそのままにして運転再開などもっての他であります。繰り返し述べることになるのですが、迫り来る東海地震に浜岡原発は持ちません。特に、柔らかい地層の上に建つ5号機が、巨大地震に対して耐えられるはずがないのです。5号機の出力は138万キロワットであります。この5号機が大災害に見舞われたときには御前崎市民だけでなく、近隣の市や町や県などの多くの人々を殺傷をする能力を持っているのです。大量の被爆者を生み出す危険性を有しているのです。これほど危険な5号機が、事故原因を曖昧にしたまま運転再開されるなど信じられない思いであります。言わば、私たちは核兵器といっしょに生活しているようなものです。5号機のみならず、危険な原発は、皆さんの力で即時停止させませんか?それが、最良の方法だと私たちは思っているのです。」


 これから先、6号機建設の問題やプルサーマルの問題、あるいは最近よく耳にするようになった「低放射線被曝」の恐ろしさについても、訴えていきたいと考えています。




                                              2010年5月25日