中電のウソ


 その2 原子力発電のコストは本当に安いの?



浜岡原発に運び込まれたMOX燃料。 
 私自身も、つい最近まで原子力発電は経済的に優れていて、もっともコスト安であると信じていました。だから、国や電力会社が原発に力を入れているのだと・・・・。私が子供の頃の1950年代には、将来原子力が実用化されれば、電気料金はきわめて安くなると盛んに言われていました。それに操業を始めてからも、原子力は他の発電方法に比較して、もっとも安価に電力を供給できると電力会社が宣伝していたのも事実です。でも、違っていたみたいです。これも、電力会社の大ウソであることがはっきりしました。原子力発電は、経済的に有利だという説はあっけなく覆されたのです。  


 中部電力は以前から、浜岡原発の発電単価(キロワット時あたり)は9円から10円ぐらいと言っていましたが、実際の発電単価は、浜岡3号機が約18円であり、4号機が14円となっています。浜岡原発では、廃炉となった1号機、2号機を含めて、キロワットあたりの単価が9円ないし10円になったことは過去一度もなかったということでした。他の地域の原子力発電所でも、だいたい15円前後です。それから、一言付け加えておきますと、今回、多くの市民の反対を無視して導入されようとしている「プルサーマル計画」で使用されるMOX燃料は、驚くことにキロワット時の単価は25円だそうです。


 天然ガスや地熱を利用した発電方法なら、キロワットあたりの単価を9円から10円前後に抑えられるそうです。現在の火力発電の単価が約11円と言われていて、もっとも高いとされている水力発電でさえ13円です。それに比較して、・・・・もう一度言いますが、原子力発電の単価は15円前後です。原発はコスト安というよりも、最も割高と言ったほうが正解のようです。それにこの数字には、今後の大きな課題となっている高レベル放射性廃棄物(死の灰)の処分や、廃炉の経費は含まれていないので、最終的に単価はさらに大きく跳ね上がることになります。


 


 先月(2009年4月の中旬)、私のところに中部電力の社員が2名訪ねて来ました。「御前崎市のすべてのご家庭を訪問させていただいているんですよ」と、彼らはていねいな口調で言っていた。2、3分間ほど玄関口で立ち話を続けたあと、その中の1人がさも申し訳なさそうな顔つきをしながら、「中部電力の電気代が、他の電力会社に比べ高くて申し訳ありません」と頭を下げたあと、「でも、数年後の着工に向けて建設計画を立てている6号機が運転を始めたら、電気代はグーンと安くなりますよ」と、一転して笑顔で語っていました。


 それを聞いて私は呆気に取られた。東海地震の危険の叫ばれている今、6号機建設などもっての他、勘弁してもらいたいものです。6号機が建設されると、御前崎市民やその周辺地域の人々の心配の種が増えるだけです。それに6号機の建設が始まると、漁業関係者への補償金やら地元への協力金など訳のわからない支出が増え、それも当然電気代に上乗せされるだろうから、むしろ6号機が稼動する頃には、いまよりも電気代は高くなっているのではないかと推測されます。


 世界一高いと言われている日本の電気料金。欧米に比べて、2、30%は確実に高いそうです。それに、私のところに訪ねて来た中電の社員が言っていたように、中部電力の電気代が他の地域よりも割高なのが事実なら、浜岡原発近辺の住民たちは地震と原発事故という複合災害の不安におびえながら、もっとも高い電気代を支払わされていることになります。どこにもメリットはないはずなのに、原子力発電に執着する国と電力会社。私には、どうにも不思議で仕方ありません。




                                                2009年5月17日