下請け労働者の実態!


 
           浜岡原発のPR館。
 浜岡原発の構内で働いている労働者の中には、これから書くようなひどい条件で働かされている人々が、いまだに多数います。下請けの孫請けの、そのまた下請けのさらに下請けといったような極小会社には、やくざがらみの登録もしていないような怪しげな業者が数多く入っています。彼らの仕事とは、労働者をどこからか集めて来て最悪の条件で働かせる、悪名高いピンハネ業者たちなのです。 


 このようなピンハネ業者のもとで働かされている労働者たちは、実に惨めなものです。給料は安くボーナスも当たり前のようになく、働く者たちの当然の権利である有給休暇も失業保険さえもなく、給料はいきなり下がることはあっても上がることなど決してなく、もちろん退職金もなく、それに何年連続して働いても社員となることは到底かなわぬ夢なのです。彼らは、実に劣悪な条件のもとで働かされています。法律で定められていることさえ、ここではほんの少しも効力を発揮することなく、決して労働者を守ってくれようとはしません。


 このような作業員もいました。よその土地から社員として雇われて来たはずなのに、御前崎市に到着したら、なぜか待遇が社員から出向社員ということに変わっていたそうです。どこの会社からの出向社員かと言うと、そのような会社は存在しないので無理やり実体のない会社を作らされ、自分がその幽霊会社の代表でありながら出向社員という、何とも複雑なと言うか奇妙奇天烈なフザケタものでした。


 それとなく彼が不服を言うと、「それでは国に帰るか?」とあからさまに言われ、その条件を呑むしかなかったみたいです。それでも1年間真面目に働いたら社員にすると言われ、彼はがむしゃらに働いたのですが、2年経っても3年経っても社員の話は出てこなかったそうです。先行きに不安を感じた彼は、せめて失業保険だけでもかけて欲しいと何度も会社にお願いしたのですが無視され続け、2008年8月にいきなり解雇通告され、その半月後に解雇されてしまいました。彼が浜岡原発で働きだして5年目のことでした。


 彼がその会社に所属していた時の待遇はひどいもので、給料は他の社員よりか安いのに有給もボーナスも失業保険もなく、半年に一度の定期健診も全額自腹で払わされていたというから本当にヒドイものです。それでも彼の場合は決して特殊な例ではなく、ピンハネ業者のもとで働いている作業員は皆、劣悪な条件に加えて、いつ解雇されるかわからない不安の中で生活しているのです。


 そのような労働者が現実に、いまでも数多く浜岡原発内で働いています。そして、ピンハネ業者も真面目に働く労働者を泣かせて、甘い汁を吸い続けているのです。時代の最先端をいっているはずの原子力発電所で、小林多喜二の”蟹工船”を彷彿させるような前時代的な雇用関係がいまだに続いていて、そのような雇用の実態を知っていながら、何ひとつ対策を講じようとしないのが中部電力です。中部電力の幹部連中や社員の中にも、下請け労働者は”使い捨て”という意識があるから、業者の悪行に対しても見て見ぬふりをしているのが実情なのでしょう。




                                              2009年8月5日